X線小角散乱測定装置
■小角散乱について
小角散乱の空間分解能
Cu波長を用いた低角度における散乱は、ブラッグの式2d*sinθ=n*λの式において(波長0.154nm)θに小さい角度(〜0.5度)を代入して算出される面間隔のように1〜150nm程度の粒子の形状に対して分解能があります。

この大きさレンジに相当する長さ情報(例えば粒子の大きさ等)が測定サンプル中に存在すれば小角散乱測定プロファイルとして測定されます。

Spatial Resolution in SAXS
Spatial Resolution in SAXS

小角散乱の特徴は直接粒子を絵として観察するTEMと比較して、散乱に寄与する粒子数が非常に数多いために統計的誤差が生じにくい点および前処理が不要である点がメリットとして上げられる一方、デメリットとしてはプロファイルが比較的単調であるため解析には前提条件が必要である点があげられます。

可視光を用いた散乱法と比較するとX線を用いた小角散乱では波長が異なるため10nm近辺の粒子径に非常に分解能が高いこと、およびX線波長では屈折率がほぼ1であるために複屈折を考慮しなくてよい点などが上げられます。

粒子よりの散乱について
下の図は均一密度の球体について散乱プロファイルをシミュレーションしたプロファイルです。粒子径により全体の振動が変化するとともに特に低角度側のプロファイル傾きが大きく異なっている点が特徴として挙げられます。

SAXS from a Spherical Particle
SAXS from a Spherical Particle

また測定サンプルが同じ球体であり大きさに分布がある場合に分布状態の異なるプロファイルをシミュレーションすると下記のプロファイルが得られます。

SAXS from a Set of Polydisperse Particles
SAXS from a Set of Polydisperse Particles

小角散乱粒子径分布測定について
測定される代表例としてナノ粒子が挙げられます。入射したエックス線は各粒子で散乱を生じて粒子の形状に起因するプロファイル(形状因子といいます)および、隣り合う粒子からの散乱が測定されます(構造因子といいます)。

希薄な系では構造因子は測定することができませんので無視します。ナノの粒子が存在する希薄な系に対して小角散乱を測定した場合した例のように粒子の大きさの情報を含んだプロファイルが得られますのでこれを解析することにより大きさの分布状態を調べることができます。逆に言うと小角散乱プロファイルの一点一点のデータ点は粒子形状もしくは系の密度分布状態を反映しています。

Volume Distribution Curve of nano-TiO2
Volume Distribution Curve of nano-TiO2

測定を行い吸収補正後にバックグラウンドプロファイルとして前者から差し引きます。低角部分に特徴ある強度の盛り上がりが測定されていますがこのような強度の盛り上がりや微細な振動等、プロファイルの全体傾き形状が小角散乱プロファイルで得られる情報です。

得られたプロファイルはある特定の限られた角度領域に存在します。

プロファイルを直接フーリエ変換すると粒子の情報が得られますが低角度側はダイレクトビームが位置していることにより測定できていませんし高角度側はバックグラウンドが存在するためにある角度までしか強度を測定することができません。したがって無限角度領域のプロファイルではないために直接フーリエ変換できず、間接フーリエ変換という手法を用います。

この計算過程では最終的な粒子分布形状に関数形状などの前提条件を置いていませんので非常に精密に粒子径分布の情報を得ることができます。下記はその応用例です。

Random Porous Material
Random Porous Material

Highly Ordered Mesoporous Silica
Highly Ordered Mesoporous Silica
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