| Size and Distribution Analysis for Polydisperse Catalysts, Ceramics and other Nano-Powders |
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| 多分散性触媒、セラミックス、その他ナノ粉体のサイズとサイズ分布に 関する分析 |
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| 緒言 | ||||||||||||||||||||||||
| 多くの素材が、その構成要素となっているナノ粒子の粒径から特性や機能性を獲得している。直ちに思い浮かぶ例として (1)触媒と酵素の活動度 (2)セラミックスの力学的安定度 (3)ナノ粒子の熱的、電気的、光学的特性 などが挙げられる。これらの特性の粒子サイズ依存性は、粒子サイズの減少に伴う表面積−体積比率の増加や量子サイズ効果の増大に起因する。この事実が、世界中の研究機関がナノテクノロジー分野の研究に精力を傾注する原動力となっている。 粒子サイズの研究が特に必要とされる状況として、粒子間の会合が生じる可能性がある場合、乾燥粉体の再溶解が不完全であるとき、ナノ粒子の合成を最適化しなければならない場合等が挙げられる。乳濁液中の粒子(例えば、水中の油滴など)や懸濁液(例えば、酵素や無機コロイド沈殿など)は通常、界面活性剤や電荷によって、癒合やクラスター形成(会合)過程に対して安定化される。したがって、会合体の形成は系の安定条件の破綻を示唆する。乳濁液や懸濁液の質は会合に対する耐性が尺度となる。会合はあらゆる相分離の主要な過程であるからである。 分散した粒子のサイズ分布を評価するためには、いくつかの方法が有効であるが、迅速性や分解能は大きく異なる。動的光散乱(DLS)は最も速い(秒から分)が、分解能は最も悪い。 DLSを用いて、粒子サイズ分布のピークを他のピークから分離するには、サイズが3倍程度異なる必要がある[1]。超遠心分離分析法は、全ての粒子が同じ密度を持つならば、そこそこの効率(1 ̄4時間程度)で最も高い分解能を有する[2]。静的光散乱やX線散乱はこれらの手法の中間の効率(分から時間)を持ち、中間の分解能を与え、20%程度のサイズの違いがあればサイズ分布のピークを分離できる。 散乱法は会合体形成の評価に有効に用いることができる。これは散乱されるX線強度が大雑把に見積もって粒子サイズの6乗に比例するという事実による[1]。これは少量の会合体が形成されただけでも、会合体形成の初期段階から散乱信号に強い影響が現れることを意味する。例として、会合前の粒子(基本粒子とする)の10倍の大きさを持つ会合体は106個の基本粒子に相当する強度のX線を散乱させる。したがって、1ppmの会合体が形成されれば、試料中に共存する全ての基本粒子と同程度の信号強度を生じさせることになる。 異なる粒子サイズ決定法は異なる感度を持つ。顕微鏡観察は粒子数に対して感度が高く数分布DNを与える。紫外/赤外吸収(超遠心法と共に用いられる)は、濃度(体積)に対して高感度を持ち体積分布(DV)を与え、散乱法は強度分布(DI)に鋭敏である。よって、異なる手法によって得られた分布度を比較する際には注意が必要である。これら3種類の分布度は、以下の関係を用いて互いに変換することができる。 分布度間の変換の際、重み要素 Rx(x=3,6)は分布ピークの幾分のズレを生じさせる。よって、DNに例えばR=2.5nmでピークが現れた場合、これを体積で重みを付けた分布に直すと、R=3.0nmにピークがシフトするということが頻繁に起こる。 ピーク位置のシフト量に関して厳密な数値を与えることは一般的に不可能である。というのは、それぞれのサイズ分布を他の尺度に変換した際、シフト量がピーク位置だけでなく分布幅にも強く依存するからである。図1に理論計算によって得られた、3nmと9nmに同じ高さの分布ピークを持ち、ガウス型の体積分布を示す2集団モデル(緑色の曲線)を示す。それぞれを数分布と散乱強度分布に換算すると、ピークがシフト(特に3nmのピーク)していることが分かる。
懸濁液や乳濁液の散乱曲線は反転法[3-5]で数分布に変換できる。得られる分布は通常、強度での重み付きであるが、適当な重み付けによってDVに変換できる。しかし、大きい粒子が同時に存在する場合は小さな粒子に対する散乱データの感度が低いため、通常、DNを有益な精度で得ることは難しい。 粒子サイズ分析に対する散乱法の分解能限界[6]-[8]は次式で決定される。
ここで、散乱データがqminとqmaxの間のqレンジで測定可能なとき、RminとRmaxは、それぞれ、検出できる最小および最大の粒子半径である。運動量移動(散乱ベクトル長)は散乱角qと照射放射線の波長lから計算される。SAXSess装置の分解能限界を下の表にまとめる。別の報告(Application Report C23IB05)で示したように、下記の数値は代表的な値(最低保障値)であり、試料の特性など、他の条件によってさらに良好な結果を得ることが可能である。
研究では2つの異なる粒子サイズを持つ金粒子コロイド懸濁液の1:1混合系中の粒子サイズ分布測定に対するSAXSess装置の性能を示す。 実験 試料はそれぞれ半径3 nmと7 nmの金コロイド懸濁液(それぞれ#1、#2と呼ぶ。)である。Graz大学のAlexander Bergmann博士から入手したもので、SlotとGueseの手法[9] に従って用意された。試料の濃度は0.01重量%とし、30分間X線を照射した。全ての測定は温度22℃で行った。上記の2種の懸濁液が1:1の体積比となるように調合した混合系を用意した。 小角X線散乱(SAXS)装置は、PANalytical社製のロングファインフォーカス封入ガラスX線管(Ka線波長l=0.1542nm)を備えたPW3830実験室用 X線発生源(40kV、50mA)と温度制御式サンプルホルダー(TCS120)を装着したAnton Paar GmbH製SAXSess小角X線散乱装置から構成されていた。 散乱データは半透過式ビームストッパによって減衰されたプライマリービーム強度に対して規格化され、サンプルホルダーと溶媒からのバックグラウンド散乱に対して補正された。 異なる分析ソフトウェアに対するSAXSess装置の適合性を示すため、粒子サイズ分布の評価をGIFTプログラム[3](PCGソフトウェア)と、代替の方法として、改良版ORTプログラム[5](CygWin Version 1.0)を用いて行った。球状の粒子形状を仮定して体積で重みを付けた分布を計算した。 結果 一つ目の金コロイド懸濁液(#1)の実験散乱曲線を図2の上のグラフに示す。
実験データを0.085 < q < 1.5 [nm-1]の範囲で示した(緑の点)。GIFTプログラムにより、実験データに赤線で示した最適曲線を(図2上のグラフ)適合させ、体積で重みを付けた粒子サイズ分布(図2の下のグラフ参照)によって解釈された。得られた粒子サイズ分布の極大は、存在比が最も高い粒子の半径は3nmであることを示している。7.8nmに見られる小さなピークは少量の会合体の存在、または(会合体ではないが)大きな粒子の存在を示唆している。図3から分かるように、2番目の金コロイド(#2)の場合は状況が異なる。1nmから3nm の半径を持つ小さな粒子の存在も認められるが、存在比が最も高い粒子の半径は7nmである。
図4に、コロイド #1と#2 の 1:1 混合系を含む、全ての試料中の粒子サイズ分布の比較を示す。
この比較から、混合系中の粒子サイズ分布2つの構成要素(半径3nmと7nmのコロイド)の寄与に明確に分離できること、さらに、それぞれの構成要素の相対量もサイズ分布の評価によく反映されることが明らかになった。 GIFTプログラムを用いた際、散乱データのノイズ効果が粒子サイズ分布の評価に影響を与えるため、小振幅で負の値となる成分を取り除くことが出来ない。 これらの振動を除くためには、粒子サイズ分布の計算値(体積分率)に負の値を与えないような束縛条件を付けることが有効である [4, 5]。この場合、サイズ分布の評価の分解能も束縛条件が無い場合に比べて向上する。 まとめ 散乱法によって粒子サイズを評価するためには、非常に質の高いのデータを得ることが必須である。SAXSess装置によって、粒子サイズ分布の評価に十分応用可能な精度の高い秀逸なデータが取得可能なこと証明された。 最終的に得られるサイズ分布の精度は、装置の性能だけでなく、用いるソフトウェアにも依存する。GIFTプログラムは、サイズ分布の評価に最適化されたソフトウェアでは無いにも関わらず、この用途に確実に使用することが出来る。GIFTプログラムは本来、正の値も負の値も取り得る二体相関関数の計算に用いられるべきものである。粒子サイズの分布の計算には、負の値を与えないような束縛条件を付けることが出来る特殊なソフトウェアを使用することが望ましい。 参考文献
データ提供 Christian Moitzi, Norbert Freiberger and Otto Glatter, Institute of Chemistry, Heinrichstr. 28, A-8010 Graz, Austria |
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